「エンジンオイルの交換時期は色で判断できる?」「黒くなったら交換しないといけない?」そんな疑問をお持ちではありませんか?この記事では、エンジンオイルが黒く変色する理由と、走行距離や期間など色以外の交換目安を解説します。
さらに、交換を怠ることで起こるエンジンの摩耗や燃費悪化などのリスク、ご自身でできる点検方法や交換手順までご紹介。適切なメンテナンスで愛車の寿命を延ばしましょう。
エンジンオイル交換の目安は色でわかる?
エンジンオイルの交換時期を判断する際、「色が黒くなったら交換」という話を耳にすることがあります。しかし、エンジンオイルの色だけで交換時期を正確に判断するのは非常に難しいのが実情です。
この章では、エンジンオイルの色と交換時期の関係について、その判断の難しさ、色が変化する理由、そして色以外の信頼できる交換目安について詳しく解説します。
オイル交換目安は色だけでは判断が難しい
エンジンオイルの色は、その劣化度合いや汚れ具合を示す一つの指標ではありますが、前述の通り色だけで交換時期を判断するのは適切ではありません。新油であっても、使用開始から比較的短期間で黒く変色するオイルも多く存在します。
特にディーゼルエンジン車や高性能なガソリンエンジン車では、エンジン内部の燃焼生成物やカーボンを効率的に取り込むため、オイルがすぐに黒くなる傾向があります。
オイルの劣化は、色だけでなく、粘度の低下、添加剤の消耗、酸化など、多岐にわたる化学的・物理的変化によって進行します。色が黒いからといって必ずしも性能が著しく低下しているわけではなく、逆に色がきれいでも添加剤が消耗し、本来の性能を発揮できていないケースもあります。そのため、色だけに頼った判断は、エンジンの保護という観点から見るとリスクを伴う可能性があります。
エンジンオイルの色が変わる理由
エンジンオイルが使用中に黒く変色する主な理由は以下の通りです。
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清浄分散作用による汚れの取り込み:エンジンオイルには、エンジン内部で発生する燃焼生成物(カーボン、すすなど)やスラッジ(油泥)を洗い流し、オイル中に分散させてエンジン内部をきれいに保つ「清浄分散剤」という添加剤が含まれています。これらの汚れをオイルが取り込み、エンジン内部に堆積させないように働いているため、オイル自体が黒く変色します。これは、オイルがその役割をしっかり果たしている証拠でもあります。
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熱による酸化と劣化:エンジン内部は高温にさらされるため、エンジンオイルは熱によって酸化し、徐々に劣化が進行します。酸化が進むとオイルの分子構造が変化し、色が濃くなったり、粘度が増減したりすることがあります。
- 燃料の混入:エンジンの種類や運転状況によっては、未燃焼の燃料が微量ながらオイルに混入することがあります。これもオイルの色が変化する要因の一つです。
このように、エンジンオイルの色が変わるのは、オイルがエンジン内部を保護し、清浄に保つために働いている結果であることが多いのです。
エンジンオイル交換の目安
エンジンオイルの交換時期は、色だけでなく、複数の要素を総合的に考慮して判断することが重要です。最も信頼性の高い判断基準は、自動車メーカーが推奨する交換時期です。取扱説明書やメンテナンスノートに記載されている走行距離や期間を必ず確認しましょう。
一般的に、エンジンオイルの交換目安は以下の通りです。
判断基準 | 一般的な目安 | 備考 |
---|---|---|
走行距離 | ガソリン車:5,000km~15,000km ディーゼル車:5,000km~10,000km |
車種、エンジンタイプ、使用するオイルの種類(鉱物油、部分合成油、全合成油)によって異なります。 |
期間 | 6ヶ月~1年 | 走行距離が短くても、時間経過とともにオイルは酸化・劣化します。 |
走行状況 | シビアコンディションの場合は早めに |
これらの状況では、メーカー推奨の半分程度のサイクルでの交換が推奨されることがあります。 |
オイルレベルゲージでの確認 | 量、粘度、匂い |
色以外の状態も確認しましょう。 |
これらの目安はあくまで一般的なものであり、ご自身の車の取扱説明書に記載されている情報を最優先してください。定期的な点検と適切な時期での交換が、エンジンの性能維持と長寿命化に繋がります。
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オイル交換を放置するとどうなる?
エンジンオイルは、エンジン内部の金属部品をスムーズに動かすための潤滑だけでなく、冷却、清浄、密封、防錆といった多岐にわたる重要な役割を担っています。しかし、走行距離や時間の経過とともにオイルは劣化し、その性能は徐々に失われていきます。
劣化したオイルを交換せずに放置すると、エンジンの性能低下や故障、さらには重大なトラブルにつながる可能性があります。ここでは、オイル交換を怠った場合に発生しうる具体的なリスクについて解説します。
エンジンの摩耗や焼き付き
エンジンオイルが劣化すると、その潤滑性能が著しく低下します。新品のオイルは高い粘度と潤滑添加剤によって金属部品間の摩擦を低減しますが、劣化オイルは粘度が低下したり、酸化によってスラッジ(ヘドロ状の不純物)が増えたりするため、金属同士が直接触れ合う機会が増加します。これにより、ピストン、シリンダー、クランクシャフト、カムシャフトといったエンジンの主要な可動部品に過度な摩擦が生じ、摩耗が進行します。
摩耗がさらに進むと、部品のクリアランス(隙間)が広がり、エンジンの圧縮漏れや異音の原因となります。最悪の場合、金属同士の摩擦熱によって部品が溶着し、エンジンが固着する「焼き付き」と呼ばれる現象が発生します。焼き付きはエンジンに致命的な損傷を与えるため、エンジン交換や高額なオーバーホールが必要となり、多大な修理費用が発生するリスクがあります。
燃費の悪化
劣化したエンジンオイルは、潤滑性能の低下によりエンジン内部の摩擦抵抗を増大させます。エンジンは、この増大した摩擦抵抗に打ち勝って部品を動かすために、より多くのエネルギーを必要とします。
結果として、ガソリンの消費量が増え、燃費が悪化します。また、摩擦抵抗の増加はエンジンの効率を低下させるため、本来のパワーや加速性能が発揮されなくなり、エンジンの出力が低下する原因にもなります。
さらに、オイルの劣化によってエンジン内部の清浄作用が失われると、燃焼室内にカーボンやスラッジが堆積しやすくなります。これらの堆積物は不完全燃焼を引き起こし、排気ガス中の有害物質が増加するだけでなく、エンジンの回転が不安定になるなどの症状を引き起こし、燃費の悪化をさらに助長します。
オイル上がり
オイル上がりとは、エンジンオイルが燃焼室に入り込み、ガソリンと一緒に燃焼してしまう現象を指します。劣化したエンジンオイルは、清浄性能の低下によりピストンリング周辺にスラッジを堆積させやすくします。
このスラッジがピストンリングの動きを阻害したり、シリンダー壁との密着性を損なったりすることで、本来燃焼室に入り込むべきではないエンジンオイルが燃焼室へ侵入してしまうのです。
オイル上がりが起こると、マフラーから青白い煙が排出されるのが特徴的な症状です。また、エンジンオイルの消費量が異常に増え、頻繁なオイル補充が必要になります。その他にも、スパークプラグがオイルで汚れて失火の原因となったり、エンジンの出力低下、加速不良といった症状が現れることがあります。長期的に放置すると、排気ガス浄化装置である触媒が損傷し、高額な修理費用が発生する可能性もあります。
異音や振動などの走行異常
エンジンオイルの劣化は、エンジンの作動音や振動にも影響を及ぼします。潤滑性能が低下すると、タペット(バルブを動かす部品)やクランクシャフト、コンロッドといった金属部品同士の摩擦が増加し、「カチカチ」「カタカタ」「キーキー」といった異音が発生しやすくなります。これらの異音は、部品の摩耗が進行しているサインであり、放置すると重大な故障につながる可能性があります。
また、劣化したオイルはエンジンのスムーズな回転を妨げ、不規則な振動を引き起こすことがあります。特にアイドリング時や加速時にエンジンが不安定になったり、車体全体に不快な振動が伝わったりすることがあります。
最悪の場合、エンジン内部の深刻な損傷により、走行中にエンジンが突然停止するといった危険な状況に陥る可能性も否定できません。このような走行異常は、ドライバーの運転感覚を損なうだけでなく、事故のリスクを高めることにもつながるため、早期の対処が必要です。
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エンジンオイルの点検方法と交換手順も紹介
ここからは、エンジンオイルの点検方法と交換するときの手順を紹介します。知っておくことで、愛車のメンテナンスに生かすことができます。
エンジンオイルの点検方法
エンジンオイルの点検は、エンジンの健康状態を把握するために非常に重要です。定期的な点検により、オイルの量、汚れ具合、劣化度合いを確認し、適切なタイミングでの交換を検討できます。
レベルゲージでの確認
エンジンオイルの量は、オイルレベルゲージを使って確認します。点検は、車を平坦な場所に停車させ、エンジンを停止してから5~10分程度待ってから行いましょう。これにより、エンジン内部に循環していたオイルがオイルパンに戻り、正確な量を測定できます。
- ボンネットを開け、エンジンオイルレベルゲージを引き抜きます。
- 付着しているオイルを清潔なウエスなどで拭き取ります。
- レベルゲージを奥まで差し込み、再度引き抜きます。
- レベルゲージの先端にある「F(Full/Max)」と「L(Low/Min)」の刻印の間にオイルの油面があれば適正な量です。
オイル量が「L」を下回っている場合はオイル不足ですので、速やかに補充が必要です。オイルが多すぎてもエンジンの負担になるため、「F」を超えないように注意しましょう。
オイルの色と粘度の確認
レベルゲージでオイル量をチェックする際に、オイルの色と粘度も確認しましょう。
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色:透明感があるか、黒ずみや濁りがないかを確認します。使用初期は透明感がありますが、走行距離が増えるにつれて徐々に黒く変色していきます。真っ黒で透明感がなく、スラッジ(ヘドロ状の汚れ)が混じっている場合は、劣化が進んでいるサインです。ただし、ディーゼルエンジン用オイルは清浄分散剤の働きにより、比較的早く黒くなります。
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粘度:指でオイルを少量取り、触ってみて粘り気があるかを確認します。新品のオイルは適度な粘り気がありますが、劣化が進むとサラサラとした水っぽい感触になります。粘度が低下している場合は、オイルの潤滑性能が落ちている可能性があります。
- 臭い:オイルにガソリン臭や焦げ臭がないか確認します。ガソリン臭が強い場合は、燃焼室からの燃料混入が疑われ、焦げ臭がする場合はエンジン内部で異常な高温が発生している可能性があります。
これらの点検を定期的に行うことで、エンジンオイルの状態を把握し、適切な交換時期を見極めることができます。
エンジンオイルの交換手順
エンジンオイルの交換は、適切な工具と手順を踏めばご自身で行うことも可能です。ただし、安全確保と廃油処理には十分な注意が必要です。
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準備:交換に必要な工具と部品(新しいエンジンオイル、オイルフィルター、ドレンパッキン、廃油処理箱など)を揃えます。作業前にエンジンを数分間暖機運転し、オイルの排出をスムーズにします。
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安全確保:車を平坦な場所に停車させ、パーキングブレーキをかけます。ジャッキアップポイントにフロアジャッキをかけ、車体を持ち上げたら、必ずリジッドラック(ウマ)を設置して車体を固定します。安全のために保護メガネや作業手袋を着用しましょう。
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廃油の排出:エンジンの下に廃油処理箱をセットします。ドレンボルトを適切なサイズのソケットレンチで反時計回りに緩め、オイルを排出します。熱いオイルが勢いよく出てくることがあるので、火傷に注意してください。
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ドレンパッキンの交換と締め付け:オイルが完全に抜けたら、古いドレンパッキンを取り外し、必ず新しいドレンパッキンに交換します。ドレンボルトを時計回りに手で締め付け、最後にトルクレンチを使って車種ごとに定められた規定トルクで締め付けます。締め付けが甘いとオイル漏れの原因となり、締め付けすぎるとボルトやオイルパンを破損させる恐れがあります。
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オイルフィルターの交換(必要に応じて):オイルフィルターも交換する場合は、オイルフィルターレンチを使って古いフィルターを取り外します。新しいオイルフィルターのOリングに少量のエンジンオイルを塗布し、手で締め付けた後、フィルターレンチで規定トルクまで増し締めします。
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新しいエンジンオイルの注入:オイルフィラーキャップを開け、じょうごを使って新しいエンジンオイルを規定量注入します。
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油量確認と漏れチェック:オイルフィラーキャップを閉め、エンジンを始動して数分間アイドリングさせます。その後エンジンを停止し、5~10分待ってからレベルゲージで油量を確認します。必要であればオイルを補充します。また、ドレンボルトやオイルフィルター周辺からのオイル漏れがないかを確認します。
- 廃油の処理:排出された廃油は、廃油処理箱に吸収させた後、自治体のルールに従って適切に処理するか、ガソリンスタンドやカー用品店に相談して引き取ってもらいましょう。
DIYでのオイル交換はコストを抑えられますが、作業には専門知識と経験が必要です。不安な場合は、プロの整備士に依頼することをおすすめします。
交換時に必要なもの
エンジンオイルの交換を自分で行う際に必要な主な道具や消耗品は以下の通りです。
項目 | 詳細 |
---|---|
エンジンオイル | ご自身の車の車種や走行状況に合った粘度(例:0W-20、5W-30など)と規格(例:API SN、ILSAC GF-5など)のものを選択します。 |
オイルフィルター | エンジンオイル交換2回に1回の交換が目安とされていますが、毎回交換するとより安心です。車種専用品を選びましょう。 |
ドレンパッキン | ドレンボルトのサイズに合った新品を毎回交換することをおすすめします。再利用するとオイル漏れの原因になります。 |
廃油処理箱 | 排出されたエンジンオイルを安全に吸収・保管するための箱です。カー用品店などで購入できます。 |
レンチ | ドレンボルトのサイズに合ったソケットレンチやメガネレンチ、オイルフィルターを取り外すためのオイルフィルターレンチが必要です。 |
トルクレンチ | ドレンボルトやオイルフィルターを規定トルクで締め付けるために使用します。正確な締め付けはオイル漏れや部品破損を防ぐ上で非常に重要です。 |
ジャッキ、リジッドラック(ウマ) | 車体を持ち上げ、安全に固定するために必須です。ジャッキアップポイントを確認し、必ずリジッドラックで固定してください。 |
保護具 | 作業中の火傷や汚れ、怪我から身を守るため、作業着、保護メガネ、軍手やゴム手袋などを着用しましょう。 |
じょうご | 新しいエンジンオイルをこぼさずにスムーズに注ぐために使用します。 |
ウエス、パーツクリーナー | オイルの拭き取りや、こぼれた際の清掃、ドレンボルト周辺の脱脂などに使用します。 |
これらの道具を適切に準備し、正しい手順で作業を行うことで、安全かつ確実にエンジンオイルの交換が可能です。
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エンジンオイル交換の目安は色だけでは判断できない
エンジンオイルの色は交換時期の目安の一つですが、色だけで判断するのは難しいことがお分かりいただけたでしょう。オイルが黒ずむのは、エンジンの熱による酸化や燃焼生成物の混入が主な理由です。
交換時期は、走行距離や期間、車種や使用状況を総合的に判断することが重要です。オイル交換を怠ると、エンジンの摩耗や焼き付き、燃費の悪化、オイル上がりなど深刻なトラブルに繋がるリスクがあります。愛車の性能を維持し、安全で快適なカーライフを送るためにも、定期的な点検と適切な時期でのオイル交換を心がけましょう。